〇業界事情あれこれ (自転車業界豆知識)

 

 かつて戦後から1980年代までは下請部品メーカーとともに完成車メーカーは日本の経済を支える有力な産業の一つでした。大阪の堺など自転車部品の供給や完成車メーカーなどで垂直統合型の一大産地を形成していました。

  

 しかし安い輸入車が入ると状況は一変しました。国内メーカーは海外自社系列メーカーや現地部品メーカーからの調達で低価格化に対抗しましたが、1990年代に台頭した大手小売業者が海外メーカーとの直取引でPB(プライベートブランド)製品を生産委託するなど業界の主役が大型小売店に移行していきました。このため2000年代になるとますます産地は打撃を受け弱体化が進み、ついには産地としての自転車産業は衰退してしまいました。

  

 現在、販売されている低価格な通称ママチャリやシティーサイクルといわれる軽快車は、国内有名メーカーでも中国の現地工場で生産するなど実態はほとんどが中国からの輸入品となっています。一度、クランク軸付近のフレームをみてもらうと、「メイドイン・チャイナ」という小さいステッカーが見えにくいところに貼ってあるのを確認できるはずです。

  

 一方、いわゆる街の自転車店は、大量仕入・販売を行う大手スーパーやホームセンター、PBブランドを取り扱う大手チェーン店に押されて厳しい経営状況となっており、後継者不足も加わり廃業という事態も多く発生しています。このためかつて身近にあった街の自転車店の空白地帯が生まれ、パンク等故障の際に不便をしいられている地域住民も出てきているようです。特に車を持たない自転車を唯一移動の足に利用している高齢者や中・高通学生にとっては深刻な問題と思います。

  

  事態はいっそう複雑なのですが、ユーザーからしても自転車が低価格のため「使い捨て」に抵抗感がないという現実もあります。例えば盗まれてもさほどショックではないと考えたり、駅前の自転車置き場を廃棄場所と考えているユーザーもいるようです。

  

  一般的に主に軽快車を取り扱う自転車店の収益構造は、販売が主体で修理や整備は収益に貢献しているとはいえ付随的な業務となっています。産業分類でも自転車整備業とはなっておらず自転車販売業に整理されています。自転車店は修理や整備で長持ちさせるよりも早めに買い換えてもらったほうが儲けにつながるという構図になっているのです。

  

 どこかおかしくないですか。低価格な輸入車でもきちんとした品質管理のもとに製造されており5~6年で壊れるものではありません。追突事故などでフレーム本体やフォークなどに致命的な不具合が生じた場合は別ですが、通学等で毎日乗ったとしてもきちんと整備をすると最低でも10年以上は乗れるのです。(ただし、野ざらし状態で置いたり、まれにみられる粗悪品はこの限りではありません。)

  

  燃料を使わない環境にやさしい自転車ですが、安易に廃車・廃棄や買い替えをせずにしっかり修理・整備をして長持ちさせることも環境によいことではないでしょうか。ものを大切にする気持ち、ほんとうに大事と思いますがいかがですか・・ 

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電話 080-3144-0948

住所 岩手県盛岡市永井18-144-11

自転車整備専門店 バイシクルメンテナンス

代表 川村和則

http:   //www.mamatyarimente.com

mail: mamatyarimente@gmail.com 

 

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